学習塾はクーリングオフできる?期間・条件は?行政書士が解説
学習塾はクーリングオフできる?期間・条件は?行政書士が解説

学習塾へ入塾した後に、次のような理由で契約をやめたいと考えることがあります。
高額な年間コースを契約してしまった
冷静に考えると授業料を支払い続けるのが難しい
子どもが塾へ通いたがらない
講師や授業内容が合わなかった
希望していた曜日や時間帯に通えない
教材費や講習費を含めると予想以上に高額だった
クレジットや分割払いまで契約してしまった
契約当日に授業を受けたが、やはり解約したい
学習塾は、特定商取引法上の「特定継続的役務提供」に明記されている業種です。
次の条件を満たす学習塾の契約は、原則として、法律で定められた契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリングオフできます。
入学試験対策または学校教育の補習を目的とする学力の教授である
小学生、中学生、高校生等を対象としている
学習塾の教室など、事業者が用意した場所で授業が行われる
契約期間が2か月を超えている
契約総額が5万円を超えている
学習塾の教室へ自分から出向いて契約した場合でも、これらの要件を満たせばクーリングオフの対象です。
訪問販売とは異なり、店舗外で勧誘されたことは必要ありません。
一方、契約期間が2か月以下の場合や、契約総額が5万円以下の場合は、学習塾としての特定継続的役務提供には原則として該当しません。
また、浪人生だけを対象とする予備校、幼稚園・小学校受験のための教室、大学の授業の補習などは、法律上の「学習塾」に該当しない場合があります。
学習塾をクーリングオフできる条件
学習塾の契約が特定継続的役務提供に該当するためには、次の条件を満たす必要があります。
条件 | 内容 |
|---|---|
指導の目的 | 入学試験対策または学校教育の補習 |
主な対象者 | 小学生・中学生・高校生等 |
授業場所 | 塾の教室など事業者が用意した場所 |
契約期間 | 2か月を超えること |
契約総額 | 5万円を超えること |
クーリングオフ期間 | 法定の契約書面を受け取った日から原則8日以内 |
注意したいのは、「2か月以上」ではなく、2か月を超える契約が対象となることです。
同様に、「5万円以上」ではなく、5万円を超える契約であることが必要です。
したがって、契約期間がちょうど2か月の場合や、契約総額がちょうど5万円の場合は、学習塾としての特定継続的役務提供には原則として該当しません。
ただし、訪問販売や電話勧誘販売など、別の取引類型に該当する場合は、期間や金額の要件を満たしていなくてもクーリングオフできる可能性があります。
クーリングオフの対象となる学習塾
特定商取引法上の学習塾には、一般的に次のような教室が該当する可能性があります。
中学受験塾
高校受験塾
大学受験塾
学校授業の補習塾
集団指導塾
個別指導塾
少人数制の学習塾
自立学習型の学習塾
映像授業と教室指導を組み合わせた塾
定期テスト対策塾
内申点対策を行う塾
英語・数学・国語等の専門塾
名称が「進学塾」「予備校」「個別指導教室」「学習センター」などであっても、名称だけで決まるわけではありません。
実際の指導目的、対象者、授業場所、契約期間、契約金額から判断します。
入学試験対策
次のような入学試験に備えるための指導は、学習塾の対象になり得ます。
中学校の入学試験
義務教育学校の後期課程への入学試験
高等学校の入学試験
大学の入学試験
専修学校の入学試験
各種学校の入学試験
ただし、幼稚園や小学校への入学試験に備える教室は、特定商取引法上の学習塾の対象から外れるのが原則です。
学校教育の補習
次のような目的で行われる指導も対象になり得ます。
小学校の授業の補習
中学校の授業の補習
高等学校の授業の補習
定期テスト対策
苦手科目の克服
学校の進度に合わせた学習指導
内申点向上のための指導
大学の授業の補習は、法律上の学習塾には原則として含まれません。
小学生・中学生・高校生等が対象です
特定商取引法上の学習塾は、原則として、学校に在籍する児童、生徒または学生を対象とするものです。
典型的には、次のような受講者です。
小学生
中学生
義務教育学校の児童・生徒
高校生
中等教育学校の生徒
特別支援学校の児童・生徒
高等専門学校等の学生
一方、浪人生だけを対象とする予備校や講座は、法律上の学習塾に該当しない場合があります。
ただし、現役高校生と浪人生の双方を対象とするコースなどは、契約全体として学習塾に該当する可能性があります。
また、浪人生向けの契約であっても、訪問販売や電話勧誘販売など、別のクーリングオフ制度が適用される可能性はあります。
対象者の学年や在籍状況だけで判断せず、具体的な契約内容を確認してください。
幼児教室・小学校受験教室は対象になる?
幼稚園や小学校への入学試験に備えるための幼児教室は、特定商取引法上の学習塾には原則として含まれません。
例えば、次のような指導です。
幼稚園受験対策
小学校受験対策
行動観察の指導
親子面接の練習
巧緻性の訓練
幼児向けペーパーテスト対策
これらは、学校教育法上の幼稚園や小学校への入学者選抜に備えるものですが、特定商取引法上の学習塾の対象範囲から外れるのが原則です。
もっとも、契約の勧誘方法が訪問販売や電話勧誘販売に該当する場合は、別の制度によってクーリングオフできる可能性があります。
また、契約時に事実と異なる説明を受けていた場合は、消費者契約法等による取消しが問題になることもあります。
そろばん・習字・音楽教室は学習塾になる?
そろばん、習字、ピアノ、絵画などの教室は、通常、学校教育の補習としての「学力の教授」には該当しないため、学習塾としての特定継続的役務提供には含まれないのが原則です。
例えば、次のような教室です。
そろばん教室
習字教室
ピアノ教室
絵画教室
ダンス教室
プログラミング以外の一般的な技能教室
ただし、例えば音楽大学の入学試験に備えるためのピアノ指導や、高等学校の音楽科の授業の補習として行われる指導などは、契約の実質によって学習塾に該当する可能性があります。
教える科目の名称だけでなく、何のために指導を受けるのかを確認する必要があります。
契約総額には入塾金・教材費・講習費も含まれます
契約総額が5万円を超えるかどうかは、月々の授業料だけで判断するものではありません。
一般に、契約に基づいて支払う金額を合計して確認します。
例えば、次のような費用です。
入塾金
入会金
授業料
指導料
施設維持費
システム利用料
教室管理費
登録料
事務手数料
購入が必要な教材費
模試代
季節講習費
特別講座の費用
映像授業の利用料
例えば、月額授業料が2万円であっても、6か月間の契約であれば、授業料だけで総額12万円になります。
分割払いや月払いの場合も、毎月の支払額ではなく、契約により支払う総額を確認します。
「月謝が5万円以下だからクーリングオフできない」という説明は正確ではありません。
また、塾の授業を受けるために教材の購入が義務付けられている場合は、その教材代も金額要件の判断に含まれる可能性があります。
月謝制の学習塾はクーリングオフできる?
月謝制の学習塾では、契約期間がどのように定められているかが重要です。
6か月・1年間などの契約期間がある場合
支払いが毎月であっても、当初から6か月や1年間の契約期間が設定され、契約者がその期間に拘束されている場合は、2か月を超える契約に該当する可能性があります。
例えば、次のような契約です。
1年間のコース料金を12回に分けて支払う
最低6か月の受講が条件となっている
途中解約すると残期間分の授業料を請求される
年間カリキュラムへの申込みが前提となっている
長期契約を条件に授業料が割引されている
月払いというだけで、毎月独立した契約になるわけではありません。
毎月自由に退塾できる場合
あらかじめ長期の契約期間を定めず、月謝を支払って授業を受け、毎月自由に退塾できる契約は、基本的に月ごとに更新される契約と考えられます。
この場合、原則として、2か月を超える契約期間の要件を満たさない可能性があります。
ただし、形式上は月謝制でも、次のような事情がある場合は契約の実質を確認する必要があります。
高額な教材を同時に購入させられた
実際には年間受講が義務付けられている
退塾すると残期間分の料金を請求される
長期契約を前提とする入塾金が設定されている
教材販売と授業が実質的に一体となっている
退塾できる時期が著しく制限されている
契約書の「契約期間」「退塾」「更新」「解約」の項目を確認しましょう。
春期講習・夏期講習・冬期講習は対象になる?
季節講習だけを単独で契約した場合、通常は契約期間が2か月以下となるため、学習塾としての特定継続的役務提供には該当しない可能性があります。
例えば、次のような講習です。
2週間の春期講習
1か月間の夏期講習
年末年始の冬期講習
数日間の直前講習
短期間の定期テスト対策講座
ただし、季節講習が通常授業や年間コースと一体となっている場合は、契約全体の期間と金額で判断する可能性があります。
例えば、次のような場合です。
年間コースへ夏期講習が組み込まれている
通常授業と季節講習をまとめて契約した
季節講習の受講が年間契約の条件になっている
講習費を含む年間総額が最初から定められている
複数の短期契約が実質的に一つの長期契約となっている
契約書が複数に分かれているというだけで、必ず別個の契約として扱われるとは限りません。
回数券・授業チケット制も対象になる場合があります
学習塾では、授業回数をチケットやポイントとして一括購入する契約があります。
例えば、次のような契約です。
個別指導50回分の授業券
100ポイントの一括購入
有効期間6か月の受講権
有効期間1年間の映像授業利用権
複数科目に使用できる共通ポイント
回数券やポイントという名称であっても、学習塾の授業を受けるための契約であり、有効期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超える場合は、特定継続的役務提供に該当する可能性があります。
有効期限が定められている場合は、その有効期間が役務提供期間を判断する基準になります。
有効期限がない回数券についても、特段の事情がなければ、2か月を超える契約として扱われる可能性があります。
事業者から「授業ではなくチケットの購入なのでクーリングオフできない」と説明されても、契約の名称だけで判断することはできません。
オンライン学習塾はクーリングオフできる?
オンライン学習塾については、授業の内容だけでなく、役務が提供される場所や契約の構造を確認する必要があります。
特定商取引法上の学習塾は、原則として、事業者の教室その他事業者が授業のために用意した場所で指導するものです。
そのため、生徒が自宅からオンライン授業を受ける契約については、法律上の「学習塾」にそのまま該当するか、個別の確認が必要です。
契約内容によっては、事業者が用意した場所以外で指導を行う「家庭教師」の類型が問題になる場合もあります。
例えば、次のようなサービスです。
Zoom等を利用した個別指導
講師と生徒がオンラインで行う集団授業
オンライン自習室と個別面談を組み合わせた契約
映像授業とオンライン質問対応を組み合わせた契約
タブレット教材と講師指導を組み合わせた契約
一方、録画済みの動画教材を視聴するだけで、講師による継続的な指導がない契約は、学習塾や家庭教師ではなく、通常の通信販売となる可能性があります。
オンラインであるという理由だけで一律に判断せず、次の事項を確認してください。
講師による直接指導があるか
質問対応や添削があるか
授業場所はどこか
対象者は小学生・中学生・高校生等か
入試対策または学校の補習を目的としているか
契約期間と総額はいくらか
学習塾のクーリングオフ期間は8日以内
条件を満たす学習塾契約のクーリングオフ期間は、原則として8日以内です。
期間は、法律で定められた契約書面を受け取った日を1日目として数えます。
例えば、4月1日に適法な契約書面を受け取った場合は、原則として4月8日までに通知を発します。
契約書に署名した日と、法定の契約書面を受け取った日が異なる場合は、単純に契約日から8日間を数えるとは限りません。
8日間には、土曜日、日曜日、祝日も含まれます。
最終日が休日であっても、当然に翌営業日まで延長されるわけではありません。
期限が迫っている場合は、内容証明郵便だけでなく、電子メールや事業者の専用フォームなど、直ちに発信できる方法も検討してください。
クーリングオフは期限内に発信すればよい
学習塾のクーリングオフは、書面または電子メール等の電磁的記録による通知を期限内に発した時に効力が生じます。
例えば、8日目に内容証明郵便を差し出し、学習塾へ配達されたのが9日目以降であっても、期限内に差し出したことを証明できれば、直ちに期間経過となるわけではありません。
電子メールや専用フォームで通知する場合は、次の記録を保存してください。
送信済みメール
送信日時
宛先
メール本文
添付ファイル
専用フォームの入力画面
送信完了画面
自動返信メール
スクリーンショット
電話だけでは、いつ、どのような内容を伝えたのか証明しにくいため、電話だけで済ませないようにしましょう。
契約前の概要書面と契約後の契約書面
特定継続的役務提供に該当する学習塾は、契約者に対して、契約前と契約後に所定の書面を交付しなければなりません。
契約前の概要書面
契約を締結する前に、契約内容の概要を記載した書面を交付する必要があります。
主な記載事項は次のとおりです。
学習塾の名称
住所・電話番号
授業の内容
契約期間
契約総額
支払時期・支払方法
クーリングオフに関する事項
中途解約に関する事項
購入が必要な教材
前受金の保全措置の有無
その他の特約
契約後の契約書面
契約締結後は、遅滞なく、契約内容を明らかにした書面を交付する必要があります。
契約書面には、次のような事項が記載されます。
コース名
指導科目
授業回数
契約期間
契約総額
支払方法
教材の内容と価格
クーリングオフの方法
中途解約時の精算方法
契約担当者
契約年月日
クーリングオフに関する事項については、赤枠内に赤字で記載するなど、法令上の形式が定められています。
契約書を受け取っていない場合
法律で定められた契約書面を受け取っていない場合は、クーリングオフ期間が始まっていない可能性があります。
例えば、次のような場合です。
入塾申込書へ署名したが控えを渡されていない
タブレット端末へ署名しただけである
クレジット契約書しか受け取っていない
料金表やパンフレットしか受け取っていない
決済完了メールしか届いていない
利用規約のURLだけが送られている
契約書を後日送ると言われたまま届いていない
ただし、「契約書」という名称の紙を受け取っていなくても、電子メールに添付されたPDFなどが適法な契約書面に該当する場合があります。
受信メール、迷惑メールフォルダ、会員ページ、電子契約サービスなども確認してください。
契約書面に不備がある場合
契約書面を受け取っていても、法律上必要な事項が欠けている場合や、法令上の形式を満たしていない場合は、適法な書面を受け取ったとは認められない可能性があります。
例えば、次のような不備です。
クーリングオフに関する記載がない
中途解約に関する記載がない
契約期間が記載されていない
契約総額が明確でない
指導科目や授業回数が明確でない
教材費や講習費が記載されていない
事業者の名称や住所が記載されていない
クーリングオフ期間が法律より短く記載されている
クーリングオフの記載が赤字・赤枠になっていない
電子交付の要件を満たしていない
法定書面と認められない程度の不備がある場合は、8日間のクーリングオフ期間が進行していない可能性があります。
ただし、軽微な誤記が一つあるというだけで、当然に契約書面全体が無効になるわけではありません。
不備の内容と程度を個別に確認する必要があります。
すでに授業を受けてもクーリングオフできます
クーリングオフ期間内であれば、すでに学習塾の授業を受けたという理由だけで、当然にクーリングオフできなくなるわけではありません。
適法にクーリングオフした場合は、原則として次の効果が生じます。
受講済み授業の料金を支払う必要がない
解約手数料を支払う必要がない
違約金や損害賠償を支払う必要がない
支払済みの金銭は速やかに返還される
将来の授業料を支払う必要がなくなる
対象となる関連商品も併せて解除できる
学習塾から次のように言われても、それだけでクーリングオフできなくなるわけではありません。
「初回授業を受けたので解約できない」
「入塾手続が終わったので返金できない」
「教材を受け取ったので解約できない」
「クラスを確保したのでキャンセル料が必要」
「クレジットの審査が通ったので解除できない」
「自分から教室へ来たのでクーリングオフできない」
教材も一緒にクーリングオフできる場合があります
学習塾の契約と同時に、授業を受けるために教材を購入することがあります。
学習塾については、主に次のような商品が関連商品として指定されています。
書籍・教材
問題集
テキスト
参考書
USBメモリやSDカード等に記録された学習用ソフト
CD、CD-ROM、DVD等
ファクシミリ機器
テレビ電話装置
学習塾から購入を義務付けられた関連商品は、本体となる学習塾の契約と併せてクーリングオフできる可能性があります。
例えば、次のような場合です。
指定教材を購入しなければ入塾できない
塾専用の問題集を一括購入する必要がある
映像授業用の教材を購入するよう求められた
教材販売と授業契約が一つのパッケージになっている
塾が指定する別会社から教材を購入させられた
一方、購入が任意の参考書や、保護者が一般の書店で自由に購入した教材は、関連商品には当たらないことがあります。
また、クラウド上の教材やアプリの利用権などは、法令上の関連商品である「物」にそのまま該当するとは限りません。
ただし、教材利用料が授業契約の一部として組み込まれている場合は、役務契約全体の費用として確認する必要があります。
教材へ書き込んだ場合
教材へ書き込みをした、付属の学習ソフトを使用したなど、関連商品の価値が低下している場合は、クーリングオフ後の返還方法について問題が生じることがあります。
もっとも、教材を受け取った、包装を開封したというだけで、当然に学習塾の契約全体をクーリングオフできなくなるわけではありません。
次の事項を確認してください。
どの教材を使用したか
書き込みや切取りをしたか
教材の購入が義務付けられていたか
塾側が教材を使用させたのか
契約書面に関連商品の記載があるか
教材の販売者は誰か
クーリングオフを検討している場合は、教材を廃棄せず、できる限り現状のまま保管してください。
8日を過ぎても中途解約できます
学習塾が特定継続的役務提供に該当する場合、8日間のクーリングオフ期間を過ぎた後でも、契約期間中であれば将来に向かって中途解約できます。
中途解約に特別な理由は必要ありません。
例えば、次のような理由でも中途解約できます。
子どもが塾へ行きたがらない
講師や授業が合わない
成績が思うように上がらない
部活動との両立が難しくなった
転居や転校が決まった
他の学習塾へ移りたい
家計の事情で支払いが難しくなった
希望する授業を受けられない
受験する学校を変更した
ただし、中途解約では、クーリングオフとは異なり、すでに提供された授業の対価と、法定上限内の解約損料を請求される場合があります。
学習塾の中途解約で請求される金額の上限
授業開始前に解約した場合
授業が始まる前に中途解約した場合、学習塾が請求できる金額は、契約の締結と履行のために通常必要となる費用の範囲内で、上限は1万1,000円です。
1万1,000円は、事業者が当然に請求できる定額の解約金ではありません。
実際に通常必要となる費用がこれより少ない場合は、実際の費用を超えて請求できるわけではありません。
契約書に次のような記載があっても、法定上限を超える金額を当然に請求できるものではありません。
入塾金は一切返金しない
契約後の解約料は3万円
授業開始前でも1か月分の授業料を請求する
教室確保費用として5万円を請求する
授業開始後に解約した場合
授業開始後に中途解約した場合、学習塾が請求できる金額の上限は、次の合計額です。
すでに提供された授業の対価
2万円または契約上の1か月分の授業料相当額のいずれか低い金額
例えば、契約上の1か月分の授業料が1万5,000円の場合は、2万円より低い1万5,000円が解約損料の上限となります。
1か月分の授業料が3万円の場合は、2万円が解約損料の上限です。
すでに受けた授業の対価は、これとは別に精算されます。
入塾金は必ず返金されない?
契約書に「入塾金・入会金は理由を問わず返金しない」と記載されていることがあります。
しかし、特定継続的役務提供の中途解約では、学習塾が請求できる金額に上限があります。
「入塾金」という名称を付ければ、法定上限とは別に全額を受け取れるわけではありません。
入塾手続、学力診断、クラス分けなどのために実際に提供された合理的な役務や費用については、精算対象となる可能性があります。
その場合でも、契約時の書面に精算方法が明記されているか、金額に合理的な根拠があるかを確認する必要があります。
単に「入塾金は返金しない」とだけ定める特約が、常にそのまま有効になるわけではありません。
受講済み授業を高い通常価格で計算された場合
学習塾を中途解約すると、受講済み授業について、契約時の割引単価ではなく、高額な通常価格で再計算されることがあります。
例えば、次のような計算です。
契約時は1回5,000円だった
中途解約時は通常価格1回1万円で計算された
受講済み分が高額になり、返金額がほとんどなくなった
しかし、中途解約時の提供済み授業の対価は、原則として、契約を締結した時に定められた単価を上限として計算します。
解約する場合だけ高額な単価を適用し、中途解約制度を実質的に利用できなくする精算方法は認められない可能性があります。
次の資料を確認してください。
契約時の授業単価
通常価格
長期契約割引の条件
中途解約時の精算方法
受講済み授業の回数
欠席・振替授業の扱い
季節講習の受講状況
教材費・入塾金の扱い
返金額や精算方法について学習塾と争いが生じている場合は、弁護士や消費生活センターへ相談してください。
授業を欠席した場合の精算
学習塾の中途解約では、欠席した授業を「提供済み」として計算するかが問題になることがあります。
塾が契約どおり授業を実施する準備を整えていたにもかかわらず、生徒側の都合で欠席した場合は、契約内容によっては受講済みとして扱われる可能性があります。
一方、次のような場合は別途確認が必要です。
塾側の都合で休講になった
講師が不在だった
契約した授業が実施されなかった
振替授業を受けられなかった
教室閉鎖により受講できなかった
予約枠がなく授業を取れなかった
出席記録、時間割、休講のお知らせ、振替に関するメッセージなどを保存してください。
成績が上がらなくてもクーリングオフできる?
クーリングオフ期間内であれば、成績が上がったかどうかにかかわらず、理由を説明せずに契約を解除できます。
クーリングオフ期間を過ぎた後も、対象契約で契約期間中であれば、理由を問わず中途解約できます。
したがって、「成績が上がらなかったこと」を証明しなければ中途解約できないわけではありません。
一方、学習塾から次のような説明を受けて契約した場合は、別の問題が生じる可能性があります。
必ず志望校に合格できる
必ず偏差値が上がる
特定の講師が必ず担当する
毎日自習室を使える
希望する時間帯に必ず授業を受けられる
成績が上がらなければ全額返金する
実際の契約内容がこれらの説明と異なる場合は、不実告知、返金保証、債務不履行などが問題になる可能性があります。
広告、パンフレット、録音、メール、LINEなどを保存してください。
クレジット会社・信販会社にも通知しましょう
学習塾の授業料や教材費について、信販会社の個別クレジットやショッピングローンを利用している場合は、学習塾だけでなく、信販会社にもクーリングオフしたことを通知しましょう。
確認すべき事項は次のとおりです。
学習塾の名称
契約年月日
コース名
契約総額
信販会社名
クレジット契約番号
支払回数
毎月の支払額
既払金
学習塾との受講契約をクーリングオフしても、信販会社側の請求処理が直ちに停止されるとは限りません。
学習塾と信販会社の双方へ通知し、請求停止や返金処理を確認してください。
通常のクレジットカード払いの場合は、カード会員契約そのものをクーリングオフするのではなく、学習塾との契約を解除したことをカード会社へ知らせます。
学習塾が閉鎖・倒産した場合
学習塾が突然閉鎖した、講師がいなくなった、授業を受けられなくなったという場合は、通常のクーリングオフや自己都合の中途解約とは異なる問題になります。
塾が契約どおりの授業を提供できない場合は、債務不履行を理由とする解除や、未提供分の返金が問題になる可能性があります。
クレジット契約を利用している場合は、一定の条件を満たせば、信販会社に対して今後の支払いを拒む制度を検討できることがあります。
次の資料を保存してください。
契約書
概要書面
支払明細
授業の出席記録
時間割
閉鎖や休業のお知らせ
塾とのメールやLINE
信販会社との契約書
学習塾が連絡不能となっている場合は、消費生活センターや弁護士への相談も検討してください。
学習塾のクーリングオフ方法
クーリングオフは、書面または電子メール等の電磁的記録によって通知します。
通知書には、一般に次の事項を記載します。
契約年月日
学習塾の名称
コース名
契約期間
契約金額
生徒の氏名
契約を解除する旨
通知年月日
契約者の住所・氏名
支払済み代金の返還に関する事項
教材等の返還に関する事項
クレジット契約に関する事項
生徒番号や契約番号
未成年の子どもが授業を受ける契約では、保護者が契約者となっていることがあります。
通知書には、生徒名だけでなく、契約書に記載された契約者の氏名を正確に記載してください。
内容証明郵便で通知するメリット
学習塾のクーリングオフは、必ず内容証明郵便で行う必要はありません。
電子メール、ハガキ、特定記録郵便、事業者の専用フォームなどでも通知できます。
それでも、次のような場合は、配達証明付き内容証明郵便を利用するメリットがあります。
契約金額が高額である
長期のクレジット契約を利用している
高額な教材を購入している
契約書面に不備がある可能性がある
学習塾から解約を拒否されるおそれがある
後から通知日や通知内容を争われる可能性がある
内容証明郵便を利用すると、いつ、誰から誰へ、どのような内容の文書を差し出したかを証拠として残せます。
ただし、内容証明郵便は、クーリングオフが法的に有効であることや、通知書に記載した事実が真実であることまで証明する制度ではありません。
期限が迫っている場合は、内容証明郵便の準備だけに時間をかけず、電子メール等でも期限内に通知し、送信記録を保存してください。
学習塾の通知書作成を行政書士へ依頼するメリット
学習塾の契約では、授業契約、教材の販売契約、信販会社とのクレジット契約などが組み合わされていることがあります。
行政書士へ依頼すれば、ご本人の意思に基づき、契約内容を特定したクーリングオフ通知書を作成できます。
契約内容を整理して通知できる
契約年月日、コース名、契約期間、契約金額、教材、信販会社などを通知書へ反映します。
保護者と受講者を区別して記載できる
未成年者が通う学習塾では、保護者が契約者となり、子どもが受講者となることがあります。
契約書に基づき、契約者と受講者を区別して通知書へ記載します。
内容証明郵便の形式を整えられる
文字数や行数など、内容証明郵便の形式に合わせて通知書を作成します。
発送まで任せられる
フルサポートプランでは、内容証明郵便の発送、配達証明の利用、謄本等の整理まで対応します。
フォンス行政書士事務所の料金
作成・発送代行フルサポートプラン:11,000円(税込)
通知書の作成から内容証明郵便の発送まで対応します。
契約書等の確認
通知書の文案作成
2回までの無料修正
ご本人による内容確認
行政書士が作成者として記名・職印を付した通知書の作成
内容証明郵便の発送代行
配達証明の利用
謄本と配達証明の整理
郵送料は別途必要です。
学習塾のほか、信販会社、クレジット会社等にも送付する場合は、追加の送付先1社につき5,500円(税込)の文案作成費が必要です。
代表者・執筆者紹介

フォンス行政書士事務所
代表者・執筆者:行政書士 泉 翔嵐(いずみ つばさ)
学習塾は、特定商取引法上の特定継続的役務提供として明記されている業種です。
入学試験対策または学校教育の補習を目的として、小学生、中学生、高校生等へ教室で指導を行う契約で、契約期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超える場合は、原則8日以内のクーリングオフが認められます。
フォンス行政書士事務所では、ご本人から伺った情報と契約書等をもとに、クーリングオフ通知書を作成します。
全国対応で、初回相談は無料です。
行政書士が対応できないケース
行政書士が対応できるのは、ご本人の意思に基づく通知書の作成と発送です。
次のような場合は、弁護士へ相談してください。
学習塾がクーリングオフを明確に拒否している
契約期間や契約総額について争いがある
学習塾の法定類型に該当するか争いがある
返金額について交渉が必要である
中途解約時の精算額を争っている
受講済み授業の単価について争いがある
学習塾が閉鎖・倒産している
損害賠償を請求したい
訴訟や調停への対応が必要である
学習塾のクーリングオフについてよくある質問
学習塾は必ずクーリングオフできますか?
必ずではありません。
入試対策または学校教育の補習を目的とする指導であり、契約期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超えることが原則的な条件です。
自分から塾の教室へ行って契約しました
特定継続的役務提供は、教室内で自分から契約した場合も対象です。
訪問販売のように、不意打ち的な勧誘を受けたことは必要ありません。
契約期間がちょうど2か月です
学習塾としての特定継続的役務提供は、契約期間が2か月を超えるものが対象です。
ちょうど2か月の場合は、原則として期間要件を満たしません。
契約総額がちょうど5万円です
契約総額が5万円を超えることが必要です。
ちょうど5万円の場合は、原則として金額要件を満たしません。
月謝制でも対象になりますか?
当初から2か月を超える長期契約に拘束されている場合は、支払いが月謝制でも対象となる可能性があります。
毎月自由に退塾できる契約は、原則として期間要件を満たさない可能性があります。
夏期講習だけでもクーリングオフできますか?
夏期講習だけの契約期間が2か月以下である場合は、学習塾としての特定継続的役務提供には原則として該当しません。
通常授業や年間契約と一体となっている場合は、契約全体を確認します。
浪人生向けの予備校も対象ですか?
浪人生だけを対象とする役務は、法律上の学習塾に該当しない場合があります。
現役高校生と浪人生の双方を対象とする役務は、全体として該当する可能性があります。
オンライン塾も対象ですか?
オンライン指導は、授業場所などにより、学習塾または家庭教師のどちらに該当するか、あるいはいずれにも該当しないかを個別に確認する必要があります。
講師による指導内容、対象者、契約期間、金額などを確認してください。
すでに授業を受けました
対象となる契約でクーリングオフ期間内であれば、授業を受けたという理由だけでクーリングオフできなくなるわけではありません。
教材を開封しました
教材を開封したことだけで、学習塾の契約全体が当然にクーリングオフできなくなるわけではありません。
教材の使用状況や関連商品に該当するかを確認する必要があります。
8日を過ぎています
特定継続的役務提供に該当する場合は、クーリングオフ期間後も契約期間中であれば中途解約できます。
中途解約の違約金はいくらですか?
授業開始前は、契約締結等に通常必要な費用として1万1,000円が上限です。
授業開始後は、提供済み授業の対価に加え、2万円または契約上の1か月分の授業料相当額のいずれか低い金額が上限となります。
入塾金は返金されませんか?
「入塾金は一切返金しない」という特約が、常にそのまま有効になるわけではありません。
中途解約時には、提供済み役務の対価と法定上限内の損害額に従って精算する必要があります。
信販会社にも通知するべきですか?
個別クレジットやショッピングローンを利用している場合は、学習塾と信販会社の双方へ通知することをおすすめします。
行政書士に返金交渉も依頼できますか?
できません。
行政書士が対応できるのは、ご本人の意思に基づく通知書の作成と発送です。
返金額や中途解約時の精算について交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。
学習塾は2か月超・5万円超ならクーリングオフできます
学習塾は、特定商取引法上の特定継続的役務提供として明記されています。
次の条件を満たす場合は、原則としてクーリングオフの対象となります。
入学試験対策または学校教育の補習を目的とする指導である
小学生、中学生、高校生等を対象としている
学習塾の教室など事業者が用意した場所で指導する
契約期間が2か月を超えている
契約総額が5万円を超えている
適法な契約書面を受け取った日から8日以内である
集団指導塾、個別指導塾、映像授業を組み合わせた塾、回数券制の学習塾なども、条件を満たせば対象となる可能性があります。
また、8日間のクーリングオフ期間を過ぎた場合でも、契約期間中であれば将来に向かって中途解約できます。
まずは次の事項を確認してください。
指導の目的
生徒の学年・在籍状況
授業場所
契約期間
契約総額
法定書面を受け取った日
受講済み授業の回数
教材購入の有無
クレジット契約の有無
中途解約時の精算方法
フォンス行政書士事務所では、ご本人の意思に基づく学習塾のクーリングオフ通知書について、作成・発送代行を行っています。
作成・発送代行フルサポートプラン:11,000円(税込)
全国対応
初回相談無料
契約書、概要書面、教材の明細、クレジット契約書などを添えてご相談ください。