家庭教師はクーリングオフできる?期間・条件は?行政書士が解説
家庭教師はクーリングオフできる?期間・条件は?行政書士が解説

家庭教師を契約した後に、次のような理由で解約したいと考えることがあります。
高額な長期契約を結んでしまった
冷静に考えると授業料を支払い続けるのが難しい
子どもと家庭教師の相性が合わない
希望していた講師が派遣されなかった
授業内容が事前の説明と違った
高額な教材を一緒に購入してしまった
分割払いやクレジット契約を組んでしまった
すでに授業を受けたが、やはり解約したい
家庭教師は、特定商取引法上の「特定継続的役務提供」として明記されているサービスです。
次の条件を満たす家庭教師の契約は、原則として、法律で定められた契約書面を受け取った日から8日以内であればクーリングオフできます。
一定の入学試験対策または学校教育の補習を目的とする学力の教授である
家庭教師会社の教室など、事業者が授業のために用意した場所以外で指導を受ける
契約期間が2か月を超えている
契約総額が5万円を超えている
自宅へ家庭教師が来る契約だけでなく、インターネット、電話、FAX、郵便等を利用して指導を受ける契約も対象になる可能性があります。
また、保護者が自分から家庭教師会社へ問い合わせて契約した場合でも、上記の条件を満たせばクーリングオフの対象です。
訪問販売のように、事業者から突然勧誘されたことは必要ありません。
一方、契約期間が2か月以下の場合や、契約総額が5万円以下の場合は、家庭教師としての特定継続的役務提供には原則として該当しません。
家庭教師をクーリングオフできる条件
家庭教師の契約が特定継続的役務提供に該当するためには、次の条件を満たす必要があります。
条件 | 内容 |
|---|---|
指導の目的 | 一定の入学試験対策または学校教育の補習 |
指導場所・方法 | 家庭教師会社の教室等以外で行われる指導 |
契約期間 | 2か月を超えること |
契約総額 | 5万円を超えること |
クーリングオフ期間 | 法定の契約書面を受け取った日から原則8日以内 |
注意したいのは、「2か月以上」ではなく、2か月を超える契約が対象となることです。
同様に、「5万円以上」ではなく、5万円を超える契約であることが必要です。
したがって、契約期間がちょうど2か月の場合や、契約総額がちょうど5万円の場合は、家庭教師としての特定継続的役務提供には原則として該当しません。
ただし、訪問販売や電話勧誘販売など、別の取引類型に該当する場合は、家庭教師としての期間・金額の条件を満たさなくてもクーリングオフできる可能性があります。
特定商取引法上の「家庭教師」とは
特定商取引法上の家庭教師とは、一般に、次の目的で行われる学力の教授をいいます。
中学校以上の学校への入学試験に備えるための指導
小学校・中学校・高校等における学校教育の補習
学校の定期試験対策
苦手科目の克服
内申点対策
受験科目の指導
そして、家庭教師会社の教室など、事業者が授業のために用意した場所ではない場所で提供されることが必要です。
典型的な例は、家庭教師が生徒の自宅を訪問して授業を行う契約です。
ただし、「家庭教師」という名称だけで判断するのではなく、指導の目的、場所、方法、期間、金額などから判断します。
中学受験・高校受験・大学受験の家庭教師
次のような受験指導は、特定商取引法上の家庭教師に該当する可能性があります。
中学受験のための家庭教師
高校受験のための家庭教師
大学受験のための家庭教師
高等専門学校等の入学試験対策
学校への編入学試験対策
現役高校生を対象とした大学受験指導
浪人生を対象とした大学受験指導
家庭教師の法定類型は、学習塾とは対象範囲が完全に同じではありません。
学習塾では、原則として学校に在籍する児童・生徒等を対象とすることが要件となりますが、家庭教師の入学試験対策では、浪人生に対する大学受験指導も対象になる可能性があります。
ただし、幼稚園または小学校への入学試験対策は、特定商取引法上の家庭教師には原則として含まれません。
小学校受験の家庭教師は対象外?
幼稚園や小学校への入学試験に備えるための指導は、特定商取引法上の家庭教師には原則として含まれません。
例えば、次のような指導です。
幼稚園受験対策
小学校受験対策
行動観察の指導
巧緻性の訓練
親子面接の練習
小学校受験用のペーパーテスト対策
もっとも、家庭教師としての特定継続的役務提供に該当しない場合でも、訪問販売や電話勧誘販売などの方法で契約した場合は、別の制度によってクーリングオフできる可能性があります。
また、事実と異なる説明や強引な勧誘があった場合は、消費者契約法等による取消しを検討できることがあります。
大学生への家庭教師は対象になる?
大学の入学試験に備えるための指導は、特定商取引法上の家庭教師に該当する可能性があります。
一方、大学へ入学した後に、大学の授業を補習するために受ける指導は、家庭教師としての特定継続的役務提供には原則として含まれません。
例えば、次のような指導です。
大学の講義内容の補習
大学の定期試験対策
大学の単位取得のための個別指導
大学のレポート作成指導
大学院の講義の補習
また、司法試験、行政書士試験、宅地建物取引士試験、公務員試験など、学校への入学試験ではない資格試験の個別指導も、特定商取引法上の家庭教師には原則として含まれません。
契約名称ではなく、何のために指導を受けるのかを確認する必要があります。
家庭教師と学習塾の違い
家庭教師と学習塾は、どちらも特定継続的役務提供として指定されています。
主な違いは、授業が行われる場所です。
類型 | 主な授業場所 |
|---|---|
家庭教師 | 生徒の自宅、オンライン等、事業者が授業のために用意した教室以外 |
学習塾 | 塾の教室など、事業者が授業のために用意した場所 |
家庭教師会社が「個別指導」と表示していても、事業者の教室で授業を行う場合は、家庭教師ではなく学習塾に該当する可能性があります。
反対に、「オンライン塾」という名称でも、生徒が自宅で講師から指導を受ける契約は、家庭教師の類型に該当する可能性があります。
名称ではなく、実際の指導場所と契約内容を確認します。
オンライン家庭教師もクーリングオフできる?
オンライン家庭教師も、条件を満たせば特定継続的役務提供に該当する可能性があります。
特定商取引法上の家庭教師は、必ず講師が生徒の自宅を訪問する形態だけに限定されていません。
インターネット、電話、FAX、郵便等を利用して行われる指導も対象になり得ます。
例えば、次のようなサービスです。
ビデオ通話によるマンツーマン指導
オンラインの個別授業
講師による定期的な添削指導
オンライン面談と学習管理を組み合わせた契約
タブレット教材と講師指導を組み合わせた契約
映像授業とオンライン質問対応を組み合わせた契約
郵送教材と答案添削を組み合わせた契約
ただし、録画された授業を視聴するだけの契約や、教材を購入するだけの契約は、家庭教師ではなく、通常の通信販売となる可能性があります。
次のような事情を確認してください。
講師による個別の指導があるか
質問対応や添削があるか
学習状況に応じた指導が行われるか
指導が継続的に提供されるか
契約期間と契約総額はいくらか
家庭教師の個人契約も対象になる?
家庭教師センターや派遣会社を通さず、家庭教師本人と直接契約する場合があります。
家庭教師本人が事業として継続的に指導を提供している場合は、個人事業者との契約であっても、特定商取引法が適用される可能性があります。
法人でなければ対象にならないというわけではありません。
一方、知人や大学生などへ単発的に謝礼を支払うだけで、相手が事業として家庭教師を行っていない場合は、特定商取引法上の事業者との取引に当たらない可能性があります。
次の事項を確認してください。
相手が家庭教師業を反復継続して行っているか
広告や募集を行っているか
契約書や利用規約があるか
複数の生徒へ指導しているか
紹介料や管理料を受け取る事業者がいるか
授業料の支払先は誰か
契約総額には入会金・管理費・教材費も含まれます
家庭教師契約が5万円を超えるかどうかは、毎月の授業料だけで判断するものではありません。
一般に、契約に基づいて支払う金額を合計して確認します。
例えば、次のような費用です。
入会金
登録料
家庭教師の紹介料
授業料
指導料
教師管理費
教師選考費
システム利用料
事務手数料
交通費
購入が必要な教材費
学習用ソフトの代金
オンライン指導の利用料
例えば、月額授業料が2万円で、6か月間の契約であれば、授業料だけで総額12万円になります。
月々の支払額が5万円以下でも、契約総額が5万円を超える場合は金額要件を満たします。
分割払いやクレジット払いの場合も、毎月の返済額ではなく、契約全体として支払う金額を確認してください。
月謝制の家庭教師はクーリングオフできる?
月謝制の家庭教師では、契約期間がどのように定められているかが重要です。
長期の契約期間が定められている場合
支払いが月ごとであっても、当初から6か月や1年間の契約期間が定められている場合は、2か月を超える契約に該当する可能性があります。
例えば、次のような契約です。
1年間の指導契約を月払いで支払う
最低6か月の継続が必要とされている
途中解約すると残期間分の料金を請求される
長期契約を前提に割引が適用されている
年間の指導回数が契約時に定められている
月払いだから毎月独立した契約になるとは限りません。
毎月自由に終了できる場合
長期の契約期間が定められておらず、毎月自由に契約を終了できる場合は、原則として2か月を超える契約期間の要件を満たさない可能性があります。
ただし、形式上は月単位でも、実際には長期契約に拘束されている場合があります。
次の事項を確認してください。
最低利用期間
解約予告期間
自動更新の条件
途中解約時の違約金
残期間分の授業料の請求
高額教材の購入義務
長期契約を条件とする割引
短期の受験直前講習は対象になる?
受験直前の1か月間だけ家庭教師を依頼するなど、契約期間が2か月以下の場合は、家庭教師としての特定継続的役務提供には原則として該当しません。
例えば、次のような契約です。
1か月間の受験直前指導
夏休みだけの家庭教師
冬休みだけの短期指導
定期試験前の数週間だけの契約
数回だけの単発指導
ただし、複数の短期契約に分けられていても、当初から長期間の指導を受けることが予定されていた場合は、契約の実態を確認する必要があります。
また、自宅への訪問販売や電話勧誘販売に該当する方法で契約した場合は、家庭教師としての期間要件を満たしていなくても、別の制度によってクーリングオフできる可能性があります。
高額な教材を一緒に購入した場合
家庭教師契約では、指導契約と同時に、高額な学習教材を購入させられることがあります。
例えば、次のような契約です。
複数年分の教材を一括購入した
教材を購入しなければ家庭教師を派遣できないと言われた
中学校3年間分の教材をまとめて購入した
高校卒業まで使用する教材を購入した
家庭教師会社とは別の会社から教材を購入した
教材代をクレジット契約で支払うことになった
家庭教師の指導を受けるために購入する必要がある教材は、特定商取引法上の「関連商品」に該当する可能性があります。
本体となる家庭教師契約をクーリングオフした場合は、関連商品の販売契約も併せてクーリングオフできることがあります。
事業者から「授業契約と教材契約は別会社なので、教材は解約できない」と言われても、直ちに諦める必要はありません。
家庭教師会社が教材の販売を代理または媒介している場合や、家庭教師契約と教材購入が実質的に一体となっている場合は、関連商品として扱われる可能性があります。
家庭教師の関連商品
家庭教師について、主に次の商品が関連商品として指定されています。
書籍・教材
問題集
テキスト
参考書
カセットテープ
CD、CD-ROM
DVDその他の記録媒体
ファクシミリ機器
テレビ電話装置
これらの商品について、家庭教師の指導を受けるために購入する必要がある場合は、本体契約と併せてクーリングオフできる可能性があります。
一方、保護者が一般の書店で自由に購入した参考書や、購入が任意であった商品は、関連商品に当たらないことがあります。
また、タブレット端末やパソコンは、家庭教師の関連商品として当然に指定されているわけではありません。
ただし、機器代やシステム利用料が家庭教師契約の費用として一体化している場合は、契約全体の内容を確認する必要があります。
教材を開封・使用した場合
教材を開封した、書き込みをした、付属の学習ソフトを使用した場合でも、それだけで家庭教師契約全体のクーリングオフができなくなるわけではありません。
次の事項を確認してください。
教材の購入が家庭教師契約の条件だったか
家庭教師会社が販売を代理・媒介したか
どの教材を使用したか
教材へ書き込みをしたか
家庭教師や販売員が教材を使用させたか
契約書面に関連商品の記載があるか
教材販売会社は誰か
クーリングオフを検討している場合は、教材を捨てたり売却したりせず、できる限り現状のまま保管してください。
家庭教師のクーリングオフ期間は8日以内
条件を満たす家庭教師契約のクーリングオフ期間は、原則として8日以内です。
期間は、法律で定められた契約書面を受け取った日を1日目として数えます。
例えば、4月1日に適法な契約書面を受け取った場合は、原則として4月8日までに通知を発します。
契約を締結した日と、法定の契約書面を受け取った日が異なる場合は、単純に契約日から8日間を数えるとは限りません。
8日間には土曜日、日曜日、祝日も含まれます。
最終日が休日であっても、当然に翌営業日まで延長されるわけではありません。
期限が迫っている場合は、内容証明郵便だけでなく、電子メールや事業者の専用フォームなど、直ちに通知できる方法も検討してください。
クーリングオフは期限内に発信すればよい
家庭教師契約のクーリングオフは、書面または電子メール等の電磁的記録による通知を期限内に発した時に効力が生じます。
例えば、8日目に内容証明郵便を差し出し、家庭教師会社へ配達されたのが9日目以降であっても、期限内に差し出したことを証明できれば、直ちに期間経過となるわけではありません。
電子メールや専用フォームで通知する場合は、次の記録を保存してください。
送信済みメール
送信日時
宛先
メール本文
添付ファイル
専用フォームの入力画面
送信完了画面
自動返信メール
スクリーンショット
電話だけでは、いつ、どのような内容を伝えたのかを後から証明しにくいため、電話だけで済ませないようにしましょう。
契約前の概要書面と契約後の契約書面
特定継続的役務提供に該当する家庭教師契約では、事業者は契約者に対して、契約前と契約後に所定の書面を交付しなければなりません。
契約前の概要書面
契約を締結する前に、契約内容の概要を記載した書面を交付する必要があります。
主な記載事項は次のとおりです。
家庭教師会社の名称
住所・電話番号
指導内容
契約期間
契約総額
支払時期・支払方法
クーリングオフに関する事項
中途解約に関する事項
購入が必要な教材
前受金の保全措置の有無
その他の特約
契約後の契約書面
契約締結後は、遅滞なく、契約内容を明らかにした書面を交付する必要があります。
契約書面には、次のような事項が記載されます。
指導科目
指導時間・回数
契約期間
契約総額
支払方法
教材の内容と価格
クーリングオフの方法
中途解約時の精算方法
契約担当者
契約年月日
クーリングオフに関する事項については、赤枠内に赤字で記載するなど、法令上の形式が定められています。
契約書を受け取っていない場合
法律で定められた契約書面を受け取っていない場合は、クーリングオフ期間が始まっていない可能性があります。
例えば、次のような場合です。
申込書へ署名したが控えを渡されていない
タブレット端末へ署名しただけである
教材の売買契約書しか受け取っていない
クレジット契約書しか受け取っていない
料金表やパンフレットしか受け取っていない
決済完了メールしか届いていない
利用規約のURLだけが送られている
契約書を後日送ると言われたまま届いていない
ただし、「契約書」という名称の紙を受け取っていなくても、電子メールに添付されたPDFなどが適法な契約書面に該当する場合があります。
受信メール、迷惑メールフォルダ、会員ページ、電子契約サービスなども確認してください。
契約書面に不備がある場合
契約書面を受け取っていても、法律上必要な事項が欠けている場合や、法令上の形式を満たしていない場合は、適法な書面を受け取ったとは認められない可能性があります。
例えば、次のような不備です。
クーリングオフに関する記載がない
中途解約に関する記載がない
契約期間が記載されていない
契約総額が明確でない
指導科目や授業回数が明確でない
教材費が記載されていない
事業者の名称や住所が記載されていない
クーリングオフ期間が法律より短く記載されている
クーリングオフの記載が赤字・赤枠になっていない
電子交付の要件を満たしていない
法定書面と認められない程度の不備がある場合は、8日間のクーリングオフ期間が進行していない可能性があります。
ただし、軽微な誤記が一つあるというだけで、当然に契約書面全体が無効になるわけではありません。
不備の内容と程度を個別に確認する必要があります。
すでに授業を受けてもクーリングオフできます
クーリングオフ期間内であれば、すでに家庭教師から授業を受けたという理由だけで、当然にクーリングオフできなくなるわけではありません。
適法にクーリングオフした場合は、原則として次の効果が生じます。
受講済み授業の料金を支払う必要がない
解約手数料を支払う必要がない
違約金や損害賠償を支払う必要がない
支払済みの金銭は速やかに返還される
将来の授業料を支払う必要がなくなる
対象となる関連商品も併せて解除できる
家庭教師会社から次のように言われても、それだけでクーリングオフできなくなるわけではありません。
「初回授業を受けたので解約できない」
「家庭教師を選考したので費用が発生する」
「講師を派遣したのでキャンセルできない」
「教材を開封したので解除できない」
「クレジット審査が通ったので解約できない」
「自分から問い合わせたのでクーリングオフできない」
8日を過ぎても中途解約できます
家庭教師契約が特定継続的役務提供に該当する場合、8日間のクーリングオフ期間を過ぎた後でも、契約期間中であれば将来に向かって中途解約できます。
中途解約に特別な理由は必要ありません。
例えば、次のような理由でも中途解約できます。
子どもと家庭教師の相性が合わない
成績が思うように上がらない
子どもが指導を受けたがらない
部活動との両立が難しくなった
転居や転校が決まった
志望校を変更した
他の家庭教師や学習塾へ変更したい
家計の事情で支払いが難しくなった
希望する曜日や時間に指導を受けられない
希望した講師が派遣されなかった
ただし、中途解約では、クーリングオフとは異なり、すでに提供された授業の対価と、法定上限内の解約損料を請求される場合があります。
家庭教師の中途解約で請求される金額の上限
指導開始前に解約した場合
家庭教師による指導が始まる前に中途解約した場合、事業者が請求できる金額は、契約の締結と履行のために通常必要となる費用の範囲内で、上限は2万円です。
2万円は、家庭教師会社が当然に請求できる定額の解約金ではありません。
実際に通常必要となる費用が2万円より少ない場合は、実際の費用を超えて請求できるわけではありません。
契約書に次のような記載があっても、法定上限を超える金額を当然に請求できるものではありません。
入会金は一切返金しない
契約後の解約料は5万円
家庭教師の選考費として10万円を請求する
指導開始前でも1か月分の授業料を請求する
指導開始後に解約した場合
指導開始後に中途解約した場合、家庭教師会社が請求できる金額の上限は、次の合計額です。
すでに提供された家庭教師指導の対価
5万円または契約上の1か月分の指導料に相当する額のいずれか低い金額
例えば、契約上の1か月分の指導料が3万円の場合は、5万円より低い3万円が解約損料の上限となります。
1か月分の指導料が8万円の場合は、5万円が解約損料の上限です。
すでに受けた指導の対価は、これとは別に精算されます。
中途解約の計算例
例えば、次の家庭教師契約を指導開始後に中途解約するとします。
契約総額:30万円
契約期間:10か月
1か月分の指導料:3万円
受講済み期間:2か月
家庭教師会社が請求できる金額の上限は、原則として次のように考えます。
提供済み指導の対価:6万円
解約損料:5万円と1か月分の指導料3万円のうち低い3万円
合計上限:9万円
すでに30万円を全額支払っている場合は、原則として、上限額9万円を差し引いた21万円が返還対象となります。
ただし、入会金、教材、交通費、クレジット手数料等がある場合は、契約書面と実際の提供状況に応じて個別に確認する必要があります。
入会金・教師選考費は必ず返金されない?
家庭教師契約では、次のような費用が設定されることがあります。
入会金
登録料
教師選考費
教師紹介料
管理費
初期設定費
カウンセリング費
しかし、費用の名称を変えれば、中途解約時に全額を当然に受け取れるわけではありません。
特定継続的役務提供の中途解約では、事業者が請求できる金額に法律上の上限があります。
契約締結や家庭教師の選考のために実際に必要となった合理的な費用については、一定の範囲で精算対象となる可能性があります。
その場合でも、次の事項を確認する必要があります。
費用の具体的な内容
契約時の書面に明記されているか
実際にその業務が行われたか
金額に合理的な根拠があるか
法定上限を超えていないか
「入会金は理由を問わず返金しない」という特約が、常にそのまま有効になるわけではありません。
受講済み授業を高額な通常価格で計算された場合
家庭教師契約を中途解約すると、受講済み授業について、契約時の割引単価ではなく、高額な通常価格で再計算されることがあります。
例えば、次のような計算です。
契約時は1時間4,000円だった
中途解約時は通常価格1時間8,000円で計算された
受講済み分が高額になり、返金額がほとんどなくなった
しかし、家庭教師会社が解約時だけ高額な単価を適用し、中途解約制度を実質的に利用できなくすることは認められない可能性があります。
提供済み役務の対価は、原則として、契約締結時に定められた合理的な単価や精算方法に基づいて計算します。
次の資料を確認してください。
契約時の授業単価
通常価格
長期契約割引の条件
中途解約時の精算方法
受講済み時間・回数
欠席・振替授業の扱い
交通費の扱い
入会金・管理費の扱い
返金額や精算方法について家庭教師会社と争いが生じている場合は、弁護士や消費生活センターへ相談してください。
家庭教師を変更してもらえない場合
家庭教師との相性が合わず、講師の変更を依頼しても対応してもらえないことがあります。
特定継続的役務提供に該当する契約であれば、講師変更が認められるかどうかにかかわらず、契約期間中は理由を問わず中途解約できます。
また、契約前に次のような説明を受けていた場合は、勧誘時の説明内容が問題になる可能性があります。
何度でも無料で教師を変更できる
特定の経歴を持つ教師を派遣する
志望校の合格実績がある教師を派遣する
女性教師を必ず派遣する
希望する曜日・時間に必ず指導できる
教師が合わなければ全額返金する
説明と実際の対応が異なる場合は、広告、パンフレット、メール、LINE等を保存してください。
成績が上がらなくても解約できます
クーリングオフ期間内であれば、成績が上がったかどうかにかかわらず、原則として理由を説明せずに契約を解除できます。
クーリングオフ期間を過ぎた後も、契約期間中であれば理由を問わず中途解約できます。
したがって、「成績が上がらなかったこと」を証明しなければ中途解約できないわけではありません。
一方、次のような説明を受けて契約した場合は、別の法的問題が生じる可能性があります。
必ず志望校へ合格できる
必ず偏差値が上がる
成績が上がらなければ全額返金する
指定した講師が必ず担当する
短期間で必ず苦手科目を克服できる
実際の契約内容が説明と異なる場合は、不実告知、返金保証、債務不履行などが問題になることがあります。
クレジット会社・信販会社にも通知しましょう
家庭教師の授業料や教材費について、信販会社の個別クレジットやショッピングローンを利用している場合は、家庭教師会社だけでなく、信販会社にもクーリングオフしたことを通知しましょう。
確認すべき事項は次のとおりです。
家庭教師会社の名称
契約年月日
指導コース
契約総額
教材販売会社の名称
信販会社名
クレジット契約番号
支払回数
毎月の支払額
既払金
家庭教師契約をクーリングオフしても、信販会社側の請求処理が直ちに停止されるとは限りません。
家庭教師会社、教材販売会社、信販会社へそれぞれ通知し、請求停止や返金処理を確認してください。
通常のクレジットカード払いの場合は、カード会員契約そのものをクーリングオフするのではなく、家庭教師契約や教材売買契約を解除したことをカード会社へ知らせます。
家庭教師会社が倒産・連絡不能になった場合
家庭教師会社が突然営業を停止した、家庭教師が派遣されなくなった、オンライン指導へログインできなくなったという場合は、通常のクーリングオフや自己都合の中途解約とは異なる問題になります。
契約どおりの指導が提供されない場合は、債務不履行を理由とする解除や、未提供分の返金が問題になる可能性があります。
クレジット契約を利用している場合は、一定の条件を満たせば、信販会社に対して今後の支払いを拒む制度を検討できることがあります。
次の資料を保存してください。
契約書
概要書面
教材の売買契約書
支払明細
指導を受けた日時の記録
派遣中止や休業のお知らせ
家庭教師会社とのメールやLINE
信販会社との契約書
家庭教師会社が連絡不能となっている場合は、消費生活センターや弁護士への相談も検討してください。
家庭教師のクーリングオフ方法
クーリングオフは、書面または電子メール等の電磁的記録によって通知します。
通知書には、一般に次の事項を記載します。
契約年月日
家庭教師会社の名称
指導コース
契約期間
契約金額
受講者の氏名
契約を解除する旨
通知年月日
契約者の住所・氏名
支払済み代金の返還に関する事項
教材等の返還に関する事項
クレジット契約に関する事項
会員番号や契約番号
未成年の子どもが指導を受ける契約では、保護者が契約者となっていることがあります。
通知書には、受講者である子どもの氏名だけでなく、契約書に記載された契約者の氏名を正確に記載してください。
内容証明郵便で通知するメリット
家庭教師契約のクーリングオフは、必ず内容証明郵便で行う必要はありません。
電子メール、ハガキ、特定記録郵便、事業者の専用フォームなどでも通知できます。
それでも、次のような場合は、配達証明付き内容証明郵便を利用するメリットがあります。
契約金額が高額である
高額な教材を同時に購入している
長期のクレジット契約を利用している
家庭教師会社と教材販売会社が異なる
契約書面に不備がある可能性がある
家庭教師会社から解約を拒否されるおそれがある
後から通知日や通知内容を争われる可能性がある
内容証明郵便を利用すると、いつ、誰から誰へ、どのような内容の文書を差し出したかを証拠として残せます。
ただし、内容証明郵便は、クーリングオフが法的に有効であることや、通知書に記載した事実が真実であることまで証明する制度ではありません。
期限が迫っている場合は、内容証明郵便の準備だけに時間をかけず、電子メール等でも期限内に通知し、送信記録を保存してください。
家庭教師の通知書作成を行政書士へ依頼するメリット
家庭教師の契約では、家庭教師の派遣契約、教材の販売契約、信販会社とのクレジット契約などが組み合わされていることがあります。
行政書士へ依頼すれば、ご本人の意思に基づき、契約内容を特定したクーリングオフ通知書を作成できます。
複数の契約を整理して通知できる
家庭教師会社、教材販売会社、信販会社など、契約の相手方と契約内容を整理して通知書へ反映します。
保護者と受講者を区別して記載できる
未成年者が指導を受ける契約では、保護者が契約者となり、子どもが受講者となることがあります。
契約書に基づき、契約者と受講者を区別して通知書へ記載します。
感情的な文章を避けられる
家庭教師や担当者への不満を長く記載するのではなく、どの契約を解除するのかを明確に記載します。
内容証明郵便の形式を整えられる
文字数や行数など、内容証明郵便の形式に合わせて通知書を作成します。
発送まで任せられる
フルサポートプランでは、内容証明郵便の発送、配達証明の利用、謄本等の整理まで対応します。
フォンス行政書士事務所の料金
作成・発送代行フルサポートプラン:11,000円(税込)
通知書の作成から内容証明郵便の発送まで対応します。
契約書等の確認
通知書の文案作成
2回までの無料修正
ご本人による内容確認
行政書士が作成者として記名・職印を付した通知書の作成
内容証明郵便の発送代行
配達証明の利用
謄本と配達証明の整理
郵送料は別途必要です。
家庭教師会社のほか、教材販売会社、信販会社、クレジット会社等にも送付する場合は、追加の送付先1社につき5,500円(税込)の文案作成費が必要です。
代表者・執筆者紹介

フォンス行政書士事務所
代表者・執筆者:行政書士 泉 翔嵐(いずみ つばさ)
家庭教師は、特定商取引法上の特定継続的役務提供として明記されているサービスです。
一定の入学試験対策または学校教育の補習を目的とする指導で、家庭教師会社の教室等以外で提供され、契約期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超える場合は、原則8日以内のクーリングオフが認められます。
フォンス行政書士事務所では、ご本人から伺った情報と契約書等をもとに、クーリングオフ通知書を作成します。
全国対応で、初回相談は無料です。
行政書士が対応できないケース
行政書士が対応できるのは、ご本人の意思に基づく通知書の作成と発送です。
次のような場合は、弁護士へ相談してください。
家庭教師会社がクーリングオフを明確に拒否している
家庭教師の法定類型に該当するか争いがある
教材が関連商品に該当するか争いがある
契約期間や契約総額について争いがある
返金額について交渉が必要である
中途解約時の精算額を争っている
受講済み授業の単価について争いがある
家庭教師会社が倒産・連絡不能となっている
損害賠償を請求したい
訴訟や調停への対応が必要である
家庭教師のクーリングオフについてよくある質問
家庭教師は必ずクーリングオフできますか?
必ずではありません。
一定の入学試験対策または学校教育の補習を目的とする指導であり、契約期間が2か月を超え、契約総額が5万円を超えることが原則的な条件です。
自分から家庭教師会社へ申し込みました
自分から申し込んだ場合でも、特定継続的役務提供の条件を満たせばクーリングオフできます。
不意打ち的な勧誘を受けたことは必要ありません。
契約期間がちょうど2か月です
家庭教師としての特定継続的役務提供は、契約期間が2か月を超えるものが対象です。
ちょうど2か月の場合は、原則として期間要件を満たしません。
契約総額がちょうど5万円です
契約総額が5万円を超えることが必要です。
ちょうど5万円の場合は、原則として金額要件を満たしません。
オンライン家庭教師も対象ですか?
講師による継続的な指導があり、指導の目的、契約期間、契約総額の要件を満たす場合は、対象となる可能性があります。
インターネット等を利用した指導も広く含まれます。
浪人生向けの大学受験指導も対象ですか?
大学への入学試験に備えるための家庭教師であれば、浪人生への指導も対象となる可能性があります。
小学校受験の家庭教師も対象ですか?
幼稚園または小学校への入学試験対策は、特定商取引法上の家庭教師には原則として含まれません。
大学生の授業補習も対象ですか?
大学教育の補習を目的とする指導は、特定商取引法上の家庭教師には原則として含まれません。
すでに授業を受けました
対象契約でクーリングオフ期間内であれば、授業を受けたという理由だけでクーリングオフできなくなるわけではありません。
高額な教材も契約しました
家庭教師の指導を受けるために購入を義務付けられた教材は、関連商品として本体契約と併せてクーリングオフできる可能性があります。
教材販売会社が家庭教師会社と別会社です
家庭教師会社が教材販売を代理・媒介している場合や、指導契約と教材購入が実質的に一体となっている場合は、関連商品として扱われる可能性があります。
教材を開封しました
開封したことだけで、家庭教師契約全体が当然にクーリングオフできなくなるわけではありません。
教材の使用状況や関連商品への該当性を確認する必要があります。
8日を過ぎています
特定継続的役務提供に該当する場合は、クーリングオフ期間後も契約期間中であれば中途解約できます。
中途解約の違約金はいくらですか?
指導開始前は、契約締結等に通常必要な費用として2万円が上限です。
指導開始後は、提供済み指導の対価に加え、5万円または契約上の1か月分の指導料相当額のいずれか低い金額が上限となります。
家庭教師との相性が合わなくても解約できますか?
対象となる特定継続的役務提供の契約であれば、理由を問わず契約期間中に中途解約できます。
信販会社にも通知するべきですか?
個別クレジットやショッピングローンを利用している場合は、家庭教師会社、教材販売会社、信販会社等へそれぞれ通知することをおすすめします。
行政書士に返金交渉も依頼できますか?
できません。
行政書士が対応できるのは、ご本人の意思に基づく通知書の作成と発送です。
返金額や中途解約時の精算について交渉が必要な場合は、弁護士へ相談してください。
家庭教師は2か月超・5万円超ならクーリングオフできます
家庭教師は、特定商取引法上の特定継続的役務提供として明記されています。
次の条件を満たす場合は、原則としてクーリングオフの対象となります。
一定の入学試験対策または学校教育の補習を目的とする指導である
家庭教師会社の教室等以外で指導を受ける
契約期間が2か月を超えている
契約総額が5万円を超えている
適法な契約書面を受け取った日から8日以内である
生徒の自宅へ講師が訪問する契約だけでなく、オンライン、電話、FAX、郵便等を利用した指導も対象となる可能性があります。
また、8日間のクーリングオフ期間を過ぎた場合でも、契約期間中であれば将来に向かって中途解約できます。
まずは、次の事項を確認してください。
指導の目的
入学試験または学校教育の補習に該当するか
指導を受ける場所・方法
契約期間
契約総額
法定書面を受け取った日
受講済み授業の回数・時間
教材購入の有無
教材販売会社の名称
クレジット契約の有無
中途解約時の精算方法
フォンス行政書士事務所では、ご本人の意思に基づく家庭教師契約のクーリングオフ通知書について、作成・発送代行を行っています。
作成・発送代行フルサポートプラン:11,000円(税込)
全国対応
初回相談無料
契約書、概要書面、教材の売買契約書、クレジット契約書などを添えてご相談ください。