宗教の脱会通知書はAIで作成できるのか│注意点と危険性を専門家が解説

本記事執筆・監修:大阪府行政書士会所属 行政書士 泉 翔嵐(フォンス行政書士事務所代表)
生成AIに「宗教の脱会通知書を作ってください」と入力すれば、数秒でそれらしい文章が出てきます。
では、宗教脱会を専門家へ依頼する必要はなく、AIで作れば十分なのでしょうか。
当事務所は、そうは考えていません。
AIは非常に便利な技術です。文明の進歩の一つですし、今後さらに性能が上がっていくでしょう。
問題はAIそのものではありません。
宗教脱会という非常に個人的な問題について、本人の事情を十分に確認せず、AIが自動生成した文章をそのまま「脱会通知書」として使うことには相応の注意が必要だということです。
最近では、士業事務所が運営するWebサイトでも、質問に答えるとAI等によって宗教の脱会通知書を無料作成できるサービスが見られるようになりました。
便利なサービスではあります。
しかし、
「士業事務所が公開しているAIツール」
と、
「国家資格者が依頼を受け、本人から事情を聞き、個別に作成した文書」
は同じものではありません。
ここは明確に区別した方がよいでしょう。
なお、本記事は特定の事務所や特定のサービスを批判するものではなく、AIによる宗教脱会通知書の自動生成についての当事務所の一般的な見解です。
- AIで文章を作れることと、適切な脱会通知書を作れることは別です
- 宗教脱会の情報をAIへ入力すること自体に注意が必要です
- 当事務所では顧客情報や個別案件の文書作成にAIを使用しません
- AIは宗教団体の情報を間違えることがあります
- 宗教脱会通知書には万能なテンプレートがありません
- 「AIで内容証明を作った」だけでは内容証明の形式になっているとは限りません
- 士業事務所のAIツールだから「専門家が作った文書」になるわけではありません
- AIツールを使う場合、運営者に確認したほうがよいこと
- AIそのものには行政書士(国家資格者)としての守秘義務がありません
- 自分でAIを使うことと、専門家へ依頼することは異なります
- 宗教脱会を依頼するなら「宗教」と「内容証明」の両方を見てください
- フォンス行政書士事務所では行政書士本人が個別に作成します
- 代表者紹介
- 行政書士 泉 翔嵐(いずみ つばさ)
- まとめ
AIで文章を作れることと、適切な脱会通知書を作れることは別です
AIは文章を書くことが得意です。
そのため、
「○○という宗教を辞めたい」
「今後の連絡も断りたい」
と入力すれば、かなり自然な通知書が生成されます。
しかし、宗教脱会で重要なのは文章の美しさではありません。
本人が現在どのような状況にあり、誰に、何を、どこまで通知する必要があるのか。
ここを整理することの方が重要です。
例えば、単に脱会意思だけを書けばよい方もいます。
一方で、住所の取扱い、今後の連絡、家族との関係、複数の通知先、信仰に関する物品などについて整理が必要な方もいます。
AIは入力された情報を使って文章を作ります。
逆に言えば、本人が入力していない事情については、十分に考慮されない可能性があります。
専門家へ依頼する意味は、文章を代わりに打ってもらうことだけではありません。
「何を書けばいいか」より先に、何を確認すべきかを判断することにもあります。
宗教脱会の情報をAIへ入力すること自体に注意が必要です
宗教脱会通知書を作るためには、氏名や住所などの情報を扱います。
場合によっては、生年月日、所属している宗教団体、家族関係、現在の信仰に対する考えなども関係します。
特に、宗教や信仰に関する情報は非常にセンシティブです。
「どの宗教を信じているのか」
「その宗教を辞めたいと思っているのか」
ということは、誰にでも知られてよい情報ではありません。
このような情報を一般向けAIへ入力する場合は、そのAIが入力内容をどのように利用するのかを必ず確認してください。
モデル改善への利用、いわゆる学習利用を停止できるAIであれば、少なくともその設定はオフにした方がよいでしょう。
学習利用を停止できない、または入力情報の取扱いがよく分からないサービスであれば、氏名・住所・宗教名・家族関係などを安易に入力することはおすすめしません。
AIを使って自分で作成するのであれば、
「□田△郎」
「✕✕県○○市」
など仮の情報で文章を作り、最後に自分で差し替える方法もあります。
無料だからという理由だけで、自分の信仰や家族関係まで入力するのは慎重に考えるべきです。
当事務所では顧客情報や個別案件の文書作成にAIを使用しません
当事務所もAIそのものを否定しているわけではありません。
一般的な情報整理や記事作成の補助など、依頼者の個別案件とは切り離された場面でAIを利用することはあります。
しかし、
依頼者の氏名、住所、宗教、家族関係、相談内容その他の顧客情報をAIへ入力することはありません。
また、
受任した宗教脱会案件について、AIに脱会通知書そのものを作成させることもありません。
宗教脱会通知書は、行政書士自身がご本人から事情を確認し、宗教団体について必要な調査をしたうえで作成します。
便利な道具としてAIを利用することと、行政書士として受任した仕事そのものをAIへ任せることは別だと考えているためです。
AIは宗教団体の情報を間違えることがあります
生成AIは、事実と異なる内容を自然な文章で回答することがあります。
いわゆるハルシネーションです。
宗教脱会では、この問題を軽視できません。
宗教団体によって、組織の仕組みも、施設の名称も、所属の単位も違います。
昔の情報と現在の情報が違うこともあります。
本部と地域組織の関係も団体によって異なります。
AIが、
「この宗教では○○会館へ退会届を提出します」
と断言しても、それが本当に正しいとは限りません。
しかも文章が自然なので、宗教について知らない人ほど間違いに気付きにくいという問題があります。
AIに宗教団体について聞くことと、AIの回答を事実として脱会通知書へ書くことは別です。
宗教に関する事実は、別途確認する必要があります。
宗教脱会通知書には万能なテンプレートがありません
宗教脱会通知書について、公的機関が作った全国共通の標準様式が存在するわけではありません。
本人ごとに状況が違います。
そのため、
AIが「脱会通知書」を生成したから完成
という考え方には無理があります。
同じ宗教団体から辞める場合でも、必要な文面が全員同じとは限りません。
当事務所では、宗教脱会通知書をテンプレートへ名前と住所を流し込むだけの書類とは考えていません。
本人の希望を聞き、必要な事項を確認したうえで個別に作成します。
「AIで内容証明を作った」だけでは内容証明の形式になっているとは限りません
ここはかなり明確な話です。
内容証明郵便には、日本郵便が定めた形式があります。
郵便局の窓口から内容証明郵便を差し出す場合、内容を証明するために提出する謄本には字数・行数の制限があります。
縦書きの場合は、
1行20字以内・1枚26行以内
です。
横書きの場合は、
1行20字以内・1枚26行以内
のほか、
1行13字以内・1枚40行以内
または、
1行26字以内・1枚20行以内
という形式も認められています。
なお、この字数・行数制限は謄本についてのもので、相手方へ送る内容文書そのものには同じ制限はありません。
さらに、記号の数え方、複数枚になった場合の取扱い、差出人・受取人の表示などにもルールがあります。
したがって、
AIに「内容証明郵便の形式で作って」と頼んで出てきた文章が、そのまま郵便局で内容証明として受け付けられるとは限りません。
字数や行数を超えていれば修正が必要です。
AIが記号の数え方を間違えている可能性もあります。
内容証明郵便について詳しくない人がAIの出力だけを信じて郵便局へ持ち込めば、形式上の修正を求められることは十分考えられます。
また、電子内容証明には窓口差出しとは別の仕様があります。
「文章をAIで作ること」と「内容証明郵便として完成させること」は別の作業です。
行政書士へ作成・発送まで依頼する場合には、こうした形式面まで依頼することができます。
士業事務所のAIツールだから「専門家が作った文書」になるわけではありません
ここは利用する側からすると重要です。
仮に行政書士事務所やその他の士業事務所がAI脱会通知書作成ツールを公開していたとしても、
そのツールを利用しただけで、行政書士があなたの事情を確認して文書を作成したことにはなりません。
行政書士の名前がサイトに掲載されていることと、行政書士本人が個別案件として事情を聞き、内容を確認して文書を作ったことは別です。
実際に、AIによる無料生成とは別に、希望者向けに行政書士等による有料チェックを用意しているサービスもあります。
つまり、
AIによる自動生成と、専門家による確認は別の商品・別の工程として扱われている
ということです。
無料の自動生成文書と、本人の事情を確認した専門家による文書作成は、そもそも性質が違います。
AIツールを使う場合、運営者に確認したほうがよいこと
宗教脱会通知書のAI作成サービスを使うこと自体を否定するものではありません。
ただし、実際の個人情報を入力する前に、
・何のAI・システムを利用しているのか。
・入力内容はAIの学習やモデル改善に使われるのか。
・入力内容は保存されるのか。
・誰がその情報を閲覧できるのか。
などは確認してよいと思います。
特に宗教は、かなり個人的な情報です。
これらについてサイト上で明確に確認できない場合、運営者へ問い合わせてから利用するくらい慎重でもよいでしょう。
AIそのものには行政書士(国家資格者)としての守秘義務がありません
行政書士には、行政書士法に基づく守秘義務があります。
業務上知った依頼者の秘密を、正当な理由なく外部へ漏らすことはできません。
宗教脱会では、この守秘義務はかなり重要です。
宗教、信仰、家族関係、現在の住所など、他人には知られたくない事情を扱うことがあるからです。
一方で、
AIそのものに行政書士法上の守秘義務はありません。
もちろんAIサービスを運営する企業には、それぞれプライバシーポリシーや安全管理の仕組みがあります。
しかし、それは国家資格者に法律上課されている守秘義務とは別です。
同様に、AI自身が行政書士として専門職責任を負うこともありません。
AIが間違った文章を作っても、
「なぜこの文章にしたのか」
「この宗教について何を確認したのか」
を行政書士として説明してくれるわけではありません。
自分でAIを使うことと、専門家へ依頼することは異なります
自分自身の脱会通知書を、自分の責任でAIを使って作る。
これは一つの選択肢です。
当事務所も、それ自体を否定しません。
自分で作るのであれば、
個人情報の入力を最小限にする。
可能なら学習利用をオフにする。
宗教団体についての情報を自分でも確認する。
内容証明として送るなら日本郵便の形式を確認する。
そして、最終的な文章に責任を持って自分で送る。
ということになります。
しかし、
「自分で作るのは不安なので専門家へ依頼したい」
という人についてまで、AIによる自動生成を中心に考える必要があるのかということです。
当事務所は疑問に考えています。
専門家へ料金を払って依頼するのであれば、本人から事情を聞き、宗教について調査し、その人に必要な文案を考え、内容証明の形式を整えたうえで、国家資格者として作成する。
その方が専門サービスとして自然ではないでしょうか。
宗教脱会を依頼するなら「宗教」と「内容証明」の両方を見てください
行政書士であれば、誰でも宗教に詳しいわけではありません。
また、内容証明郵便を普段ほとんど扱っていない行政書士もいます。
宗教脱会について依頼するのであれば、
宗教脱会を実際に取り扱っているか。
宗教について一定の知識があるか。
内容証明郵便について十分理解しているか。
本人の事情を聞いて個別に文案を作成しているか。
という点を見ることをおすすめします。
価格や「AIで数秒で作成」といった便利さだけでなく、
誰が自分の話を聞き、誰が通知書を作り、誰がその文書について責任を持つのか。
そこまで含めて選ぶべきだと当事務所では考えています。
フォンス行政書士事務所では行政書士本人が個別に作成します
フォンス行政書士事務所では、宗教団体からの脱会・退会通知について、ご本人から直接事情を伺います。
そのうえで宗教団体について必要な確認を行い、ご本人の希望に合わせて文案を作成します。
顧客情報をAIへ入力することはありません。
受任した宗教脱会通知書をAIに作成させることもありません。
内容証明郵便として発送する場合には、形式面を含めて当事務所で確認します。
脱会・退会通知書の作成・発送は22,000円(税込)~です。
本人が宗教脱会を検討している場合の初回相談は原則無料です。
宗教団体からの脱会・退会について公式LINEから相談する【相談無料】
※LINEを利用していない方は、お問い合わせフォーム または 代表直通 070-8964-8429 からご連絡ください。
代表者紹介
行政書士 泉 翔嵐(いずみ つばさ)

フォンス行政書士事務所代表。
内容証明郵便の作成・発送を中心として、宗教団体からの脱会・退会通知を取り扱っています。
AIは便利な技術です。
しかし、宗教脱会というセンシティブな業務については、便利さよりも、本人の事情を直接確認し、宗教についての知識を元に、行政書士自身が責任を持って文書を作成することを重視しています。
フォンス行政書士事務所
代表行政書士 泉 翔嵐(いずみ つばさ)
所属:大阪府行政書士会
登録番号(日行連):26260887
会員番号(大阪会):009471
まとめ
AIで宗教の脱会通知書を作ることはできます。
しかし、
作れることと、安心してそのまま送れることは別です。
宗教脱会では、信仰に関するセンシティブな情報を扱います。
AIは宗教団体について間違えることがあります。
本人ごとに事情も違います。
内容証明郵便には、謄本について明確な字数・行数等の形式があります。
そして、
AIそのものには行政書士としての守秘義務も、専門職としての責任もありません。
自分でAIを使って、自分の責任で通知書を作る。
それは一つの方法です。
しかし、専門家へ依頼するのであれば、
AIが作った文章を受け取るためではなく、専門家に自分の事情を確認してもらい、自分のための通知書を作ってもらう。
そのことが重要です。
士業事務所が公開している無料AIツールであっても、AIが自動生成しただけの文書と、国家資格者が受任して個別に作成した文書は同じものではありません。
宗教脱会は、単なる文章生成ではありません。
ご本人の意思と事情を確認し、必要な内容を過不足なく整理し、適切な形式で通知する仕事です。
当事務所では、その部分を行政書士自身が行います。
宗教団体からの脱会・退会について公式LINEから相談する【相談無料】
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